★当論文は、
        第15回消費生活問題研究成果発表会で最優秀賞を受賞致しました 
        「食品関連企業におけるコンプライアンス経営への取組みについて 〜 消費者との信頼関係構築への課題 〜」
        調査結果の抜粋、及び調査を通じて筆者が感じたことなどについての内容となっております。


「NACS eyes NO.23/2004年8月発行」掲載

消費者問題成果発表会
「食品関連企業におけるコンプライアンス経営への取組みについて 
〜消費者との信頼関係構築への課題〜」
に関わって

コンプライアンス経営研究会 五味 あゆみ
  
  コンプライアンス経営研究会(通称:Compass)は、
 企業における積極的な消費者志向経営を進めていこうとする有志が集まり
 「企業のコンプライアンス経営」についての研究を行っています。
 2003年度は企業の自主行動基準の入手および学習を行い、
 積極的にコンプライアンス経営に取り組んでいる事例を紹介するためのセミナーを2回開催いたしました。

 そして、研究会の1年間の成果として第15回消費者問題成果発表会において
 「食品関連企業におけるコンプライアンス経営への取組みについて 〜消費者との信頼関係構築への課題〜」
 というテーマで調査研究をまとめ、発表しました。

 ここでは、発表論文を当日の発表内容による資料と説明を追加して紹介します。
                     

 
 1. 食品関連企業のコンプライアンス経営の取組みについての調査を行った背景


  食料品は私たちの生活に不可欠です。
 また、昨今の健康志向の高まりや食に関する情報量の多さが背景となって、
 消費者は原材料や栄養成分などの情報に大きな関心を持つようになりました。
 ところが、2000年に始まった食をめぐる偽装事件、偽装表示に代表される企業の不祥事、
 そして商品の自主回収事件の続発は、消費者の企業への信頼を大きく揺るがす事態を招いています。

 消費者は度重なる不祥事に「またか」とうんざりし、
 「安全な食料品を購入するには何を信じればよいのか」と不安に陥り、消費者の企業への信頼感は喪失しました。
 また、同時に「自分たちに安全を提供してくれる企業はどこか」と
 厳しい目で企業の姿勢を見つめるようにもなりました。

                    

  そこで多くの企業では、消費者の不安を取り除き、消費者の期待に応え、
 消費者に信頼される企業であるためのコンプライアンス経営を緊急課題として取組んでいます。
 しかし、問題は消費者の信頼を回復するため、
 消費者の信頼を獲得するために必要な取り組みになっているかどうかです。
 果たして消費者と企業との信頼関係を築けるようなコンプライアンス経営が行われているのでしょうか。

 そこで当研究会は、食料品関連企業を対象に企業のコンプライアンス経営の実態調査を行い
 必要な課題を探ることにしました。