2.消費者視点から見た企業のコンプライアンス経営について

 (1)企業の存在価値

  企業は利益追求を目的とすることは疑うべくもない。
 しかし、どのようなことをしてもいいわけではなく、法令などを遵守した適正な事業活動を行うべきことも
 社会を構成する一員である以上当然である。
 企業には市場で自由に競争する権利と同時に社会的責任が求められており、
 社会ルールや規範を守り、実践していくことが重要である。
 いいかえれば、企業は消費者や市場の信頼性のうえにビジネスが成り立っている。

  そこで、企業が消費者の利益に反しない法令等のルールに則った活動をするための企業経営のあり方として、
 現在注目されているのがコンプライアンス経営である。
 企業が社会の中でどのような役割を果たすのか、
 個人の論理や消費者の論理とどのように調和させていくのかが求められ始めてきているのである。


 (2)企業と消費者の関係

  企業活動に伴う様々な消費者問題について、規制緩和の時代を迎え、
 企業と消費者は互いの自己責任において消費者問題の解決を図るという方向に大きくシフトしてきている。  
  企業は単に企業と消費者との間に発生する消費者問題を自主的に解決するにとどまらず、
 消費者から信頼される企業となるために自らをコントロールする仕組みとして
 コンプライアンス経営とその具体化としての自主的行動基準に基づく経営求められている。
 そして消費者の積極的評価による市場ルールを通した問題解決が期待されている。