A自主行動基準の具体化について
企業が、消費者の信頼を獲得するためには、
自主行動基準として策定された方針や基準を現実に企業経営に反映しなければなりません。
そこで、消費者の信頼獲得としてのコンプライアンスへの取組みを調査しました。
具体的調査項目 (ア)コンプライアンス経営を具体化しているか
コンプライアンス経営の具体化を
a)経営体制、b)企業倫理ヘルプライン、c)コンプライアンス教育の仕組みという3つの視点で調査しました。
a)経営体制を明示しているか

明示
58社のうち15社(25.9%)
約4分の1という低い数値になりました。
コンプライアンス経営の実現には、自主行動基準を実行可能なものとするための
経営体制の構築が必要となります。
しかし、自主行動基準の策定・公表が44.8%であるのと比較すると低い数値であり、
企業の経営体制の構築が遅れているか、不十分であることを示すものといえるでしょう。
b)企業倫理ヘルプラインを明示しているか
コンプライアンス経営には、コンプライアンスにかかわる相談や
通報機関である「企業倫理へルプライン」の必要性が叫ばれています。
内部告発という形で企業内の法令違反や消費者利益に反する不祥事などが出される前に
企業の自浄作用としてのコンプライアンスへの取組みとしての意義があるからです。
ここではそれらの機関についての明示、
あるいはヘルプラインに関わる取り組みの内容を明示しているかどうかを検証しました。

明示
58社のうち8社(13.8%)
企業倫理ヘルプラインの設置では、コンプライアンス経営体制よりさらに低い数値でした。
2003年1月の日本経団連の「企業倫理・企業行動に関するアンケート」によると、
『企業倫理ヘルプライン(相談窓口)の整備』が52.6%であるのと比較すると、
かなりの隔たりがありました。
c)コンプライアンス教育の仕組み・内容を明示しているか

明示
58社のうち10社(17.2%)
コンプライアンス教育についてもあまり数値が高くありません。
コンプライアンス経営については、基準や経営体制のみならず、
教育が重要な役割を果たします。なぜなら、企業活動は人によってなされるからです。
以上、コンプライアンス経営の具体化をa)b)c)と検証してきましたが、
自主行動基準の策定・公表と比べて、開示度が低く、
経営の取組みとしてはまだまだ進んでいない実態をあらわすものと思われます。
なお、食品関連企業の中で積極的に経営体制を開示している例を紹介します。
● 企業(行動)倫理委員会の設置 (味の素、日清食品、日清オイリオグループ、雪印乳業など)
● コンプライアンス推進部 (サントリーなど) |

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