2)自主行動基準の具体化についてー消費者信頼のための具体的取組みになっているか

  企業が、消費者との信頼を獲得するためには、自主行動基準として策定された方針や基準を
 現実に企業経営に反映しなければならない。
  そこで、消費者の信頼獲得としてのコンプライアンスへの取組みを調査した。


 (ア)コンプライアンス経営を具体化しているか

    コンプライアンス経営の具体化を、経営体制、企業倫理ヘルプライン、
   コンプライアンス教育の仕組みという3つの視点で調査した。


    a)経営体制を明示しているか

    

         明示 15社(25.9%)

    
約4分の1という低い数値となった。コンプライアンス経営の実現には、
   自主行動基準を実行可能なものとするための経営体制の構築が必要となる。
     しかし、自主行動基準の策定・公表が44.8%であるのと比較すると低い数値であり、
   企業の経営体制の構築が遅れているか、不十分であることを示すものといえるだろう。




   b)企業倫理ヘルプラインを明示しているか

 
   コンプライアンス経営には、コンプライアンスに関わる相談や通報機関である
   「企業倫理ヘルプライン」の必要性が叫ばれている。
   内部告発という形で企業内の法令違反や消費者利益に反する不祥事などが出されるまえに
   企業の自浄作用としてのコンプライアンスへの取組みとしての意義があるからである。
    
    ここではそれらの機関についての明示、あるいはヘルプラインに関わる取り組みの
   内容を明示しているかどうかを検証するものである。


    
         明示 8社(13.8%)

 
   企業倫理ヘルプラインの設置では、コンプライアンス経営体制よりさらに低い数値である。
   2003年1月の日本経団連の「企業倫理・企業行動に関するアンケート」によると、
   『企業倫理ヘルプライン(相談窓口)の整備』が52.6%であるのと比較すると、
  やはりかなりの隔たりとなった。



   c)コンプライアンス教育の仕組み・内容を明示しているか
 
    
          明示 10社(17.2%)

    コンプライアンス教育についてもあまり数値が高くない。
   コンプライアンス経営については、基準や経営体制のみならず、
   教育が重要な役割を果たす。企業活動は人によってなされるからである。

    以上、コンプライアンス経営の具体化をa)b)c)と検証してきたが、
   自主行動基準の策定・公表と比べて、開示度が低く、
   経営の取組みとしてはまだまだ進んでいない実態をあらわすものと思われる。
   
    なお、食品関連企業の中で積極的に経営体制を開示している例を紹介する。
    
  ●企業(行動)倫理委員会の設置(味の素、日清食品、日清オイリオグループ、雪印乳業など)
  ●コンプライアンス推進部(サントリーなど)