3.調査結果の概要について

(1)自主行動基準について−消費者重視を明示しているか

 (ア)自主行動基準を策定・公表しているか
  

   策定・公表 :  58社のうち26社(44.8%)

 
 自主行動基準を策定することは、コンプライアンス経営体制を構築する第一歩として大変重要な意義を持つ。
 その自主行動基準が策定されているかどうかを見る項目である。
 2002年12月に経団連が会員企業を対象に実施したアンケート調査(回収率48.7%)によると、
 79.1%が企業倫理または企業行動規範を「策定している」と回答しており、
 それと比較するとかなりの隔たりがある。
 わが国の代表的企業を会員とする経団連会員企業とは対象が異なるためであろう。
 また、本調査は開示した情報の範囲での該当項目の有無を確認していることから、
 「策定しているが公表していない」企業は「策定・公表なし」としてカウントしていることも影響していると思われる。




(イ)「消費者重視の姿勢」が明示されているか

  
      明示 : 23社(39.7%)

 
 自主行動基準は策定すればよいのではなく、その内容が重要である。
 ここでは消費者の信頼獲得として不可欠な項目として「消費者重視の姿勢」が明示されているかを見るものである。
  「消費者重視の姿勢」が明記されているものは23社(39.7%)と低く、
 しかも記載されていても「消費者重視の姿勢」の記載には抽象的な文言が多かった。
  例えば、「(お客様に)正直に」「誠実に」「お客様第一」「お客様の満足をこころがけます」
 「すぐれた品質と安心・安全の確保」などがその例である。
  他方、次のような「消費者重視の姿勢」を具体的に示したものも見受けられる。
      
 
 
 
●「製品情報の提供は正確な内容とわかりやすい表現を心がける」(サントリーほか)
 ●「お客様に誤認する恐れのない商品表示を行います」(日本製粉、雪印乳業ほか)
 ●「製・商品に関する重要な品質事故が発生した場合は、
   消費者の健康と安全を第一に考え社内規程・ルールに則って対処します。
   (中略)迅速な情報報告に努めます」(日清製粉)
 ●「不測の事態が生じた場合は、(中略)根本的な再発防止対策を行い、
   これらに関する情報を可能な限り公開するよう努めます」(日清オイリオグループ)